カナダ・モントリオール神経科学研究所を設立。難治性てんかん患者の発作起点(焦点)を切除する手術を専門とした。
頭皮・頭蓋骨のみに局所麻酔を施すことで、患者が意識を保った状態(覚醒下手術)で大脳皮質を直接操作・観察することが可能となった。
脳表面に弱い電気刺激を与え、患者の反応(感覚・運動・対話)を観察。
「病巣を切除する前に、言語や運動に不可欠な正常部位を安全に特定・保護する」ための画期的な安全技術を確立した。
画期的な意義: 患者自身の主観的体験の報告(「手があたたかい」「言葉が出ない」等)と、電気刺激を直接結びつけた歴史的アプローチ。
身体の各部位と、大脳皮質の「運動野(中心前回)」および「感覚野(中心後回)」が対応関係にあることを解明。
脳の担当面積は、身体の「物理的な大きさ」ではなく、「動きの精密さ」や「感覚の過敏さ」に比例する。
ペンフィールドの言語マッピング実験により、英語の「聴く・話す・読む・書く」を司る脳部位とホムンクルス(手・舌の運動野)の直接的な繋がりが証明されました。
| 技能 | 主な脳の部位 | ペンフィールドのマッピングとの関係・役割 |
|---|---|---|
| Listening (聴く) |
ウェルニッケ野 (左側頭葉) |
耳から入力された英語の音声情報を「意味のある言葉」として理解・解釈する。側頭葉刺激で過去の音声が再現される実験と直結。 |
| Speaking (話す) |
ブローカ野(左前頭葉) + 口・舌の運動野 |
発声器官(唇・舌・喉)への運動命令。ホムンクルスで巨大な「唇・舌」の運動野を駆使し、英語特有の複雑な発音を調整。 |
| Reading (読む) |
視覚野 + 角回(かくかい) (後頭葉〜頭頂葉) |
目から入力されたアルファベット(文字視覚情報)を認識し、音・意味情報へと変換・結合する。刺激により読字一時停止が観測。 |
| Writing (書く) |
エクスナー中枢 + 手・手指の運動野 |
頭の中の言語を「手・指を緻密に動かす運動プログラム」に変換。ホムンクルスで巨大な「手指」の運動野が直接機能。 |
言葉が止まる現象(Speech Arrest): ペンフィールドがブローカ野やその周りを電気刺激すると、患者の意識は保たれたまま発話(Speaking)や読字(Reading)が突然停止し、言語エリアの正確な位置特定に成功しました。
側頭葉に微小電気刺激を与えると、患者は忘れていたはずの「幼少期の情景」「母親の声」「音楽のメロディ」を鮮明に体験した。
ペンフィールドは「脳の側頭葉には、過去の体験が視覚・聴覚・感情のセットで完全なストリップのように記録されている」というモデルを提唱した。
運動野を刺激すると患者の手が勝手に動く。しかし患者は必ず「自分が動かしたのではなく、先生が動かした」と答える。
ペンフィールドは脳のあらゆる領域を刺激したが、「何かを意図する(意志を持つ)」ことを自発的に誘発する部位は一度も発見できなかった。
一貫して脳機構を追究した稀代の脳外科医でありながら、最終的に「心(意識・意志)は脳の物理的基盤だけでは完全に説明しきれない(二元論的見解)」という結論を提示。
「脳はコンピュータであり、心はそのプログラマーである」という比喩で心身問題を問いかけた。
ペンフィールドによる観察と発見は、21世紀の脳外科手術や言語心理学、神経科学の現場においても
不滅の道しるべとして生き続けています。