高校物理基礎 体系的マスター講義
第1章 運動の表し方
完全攻略スライド&実戦演習20選
中学数学(一次関数・変化の割合・放物線)の直感から解き明かす力学の基礎
STEP 1
小・中数学の架け橋
(速さ・グラフ・傾き)
STEP 2
等加速度の3大公式
(面積による完全導出)
STEP 3
鉛直方向への拡張
(自由落下・投げ上げ)
STEP 4
実戦問題演習
(Q1〜Q20 詳解付き)
高校物理基礎:力学シリーズ | 配布・印刷対応 A4横仕様
🔰 ① 小・中の復習:「速さ・距離・時間」の基本と単位
「み・は・じ」から高校物理の文字(x, v, t)と国際単位(m, s, m/s)へ
📐 小・中学校のおさらい:「道のり・速さ・時間(み・は・じ)」
小学校で親しんだ公式: $\text{距離} = \text{速さ} \times \text{時間}$ 、 $\text{速さ} = \dfrac{\text{距離}}{\text{時間}}$
高校物理では、これらをアルファベットの文字記号と決まった単位で表します:
・距離(道のり): $x$ [単位: $\text{m}$(メートル)]
・時間: $t$ [単位: $\text{s}$(秒:second)]
・速さ: $v$ [単位: $\text{m/s}$(メートル毎秒:velocity)] $\implies$ $x = vt$
⚡ 高校物理で超重要!単位の換算
日常で使う「時速 $\text{km/h}$」は、物理の計算では必ず「秒速 $\text{m/s}$」に直します!
・$1\,\text{km} = 1000\,\text{m}$ 、 $1\,\text{時間} = 3600\,\text{s}$
$\implies$ $36\,\text{km/h} = \dfrac{36000\,\text{m}}{3600\,\text{s}} = 10\,\text{m/s}$
($\text{km/h} \to \text{m/s}$ は「$3.6$ で割る」と一瞬で変換できます!)
「速さ $v\,\text{[m/s]}$」の本当の意味:
「$1$ 秒間に何 $\text{m}$ 進むか?」を表す量!
$x\,\text{[m]}$
$0\,\text{s}$
$1\,\text{s}$
$2\,\text{s}$
$t\,\text{s}$
$v\,\text{m}$
$v\,\text{m}$
合計距離 $x = vt$
✏️ 例題:単位を揃えて距離を求めよう
時速 $72\,\text{km/h}$ で一定の速さで走る自動車が、$5.0$ 秒間に進む距離 $x\,[\text{m}]$ を求めよ。
① 速さを $\text{m/s}$ に変換: $72 \div 3.6 =$ $20\,\text{m/s}$ (毎秒 $20\,\text{m}$ 進む)
② 公式 $x = vt$ に代入: $x = 20 \times 5.0 =$ $100\,\text{m}$
📈 ② 等速直線運動:中学数学の「一次関数 $y = ax + b$」そのもの!
グラフの「傾き」の意味を理解する
📊 中学数学の一次関数との完全一致
中学数学で習った直線の式: $y = ax + b$ ($a$: 傾き、 $b$: 切片)
高校物理の等速直線運動の式: $x = vt + x_0$ ($v$: 速度、 $x_0$: 初めの位置)
$\implies$ $x$-$t$ グラフ(横軸が時間 $t$、縦軸が位置 $x$)の「傾き」は「速度 $v$」を表します!
⚡ 2つのグラフの見方
1. $x$-$t$ グラフ(位置と時間):
直線の傾きが急なほど「速い」。
切片 $= x_0$ 、傾き $= \text{速度 } v$
$t\,\text{[s]}$
$x\,\text{[m]}$
$\text{O}$
$x_0$
$\text{傾き} = v$
$t$
$vt$
2. $v$-$t$ グラフ(速度と時間):
等速なので真横の一本線(水平線)。
グラフ線の下の面積 $= \text{移動距離 (変位 } x)$
$t\,\text{[s]}$
$v\,\text{[m/s]}$
$\text{O}$
$\text{面積 } vt$
$v$
$t$
✏️ 例題:一次関数で解いてみよう
初めの位置 $x_0 = 2.0\,\text{m}$ の地点から、速度 $v = 3.0\,\text{m/s}$ で右向きに進む物体の $4.0$ 秒後の位置 $x$ を求めよ。
一次関数 $y = 3.0x + 2.0$ の $x$ に $4.0$ を代入するのと同じです。
$x = vt + x_0 = (3.0 \times 4.0) + 2.0 = 12 + 2.0 =$ $14.0\,\text{m}$
🏎 ③ 加速度:速度が1秒あたり「どれだけ増えたか(減ったか)」
変化の割合(=直線の傾き)で捉える
📐 中学数学:「変化の割合」= 加速度 $a$
一次関数の変化の割合: $\dfrac{y\text{の増加量}}{x\text{の増加量}}$
高校物理の加速度 $a$: $a = \dfrac{v - v_0}{t}$ ($\dfrac{\text{速度の変化量}}{\text{かかった時間}}$)
$\implies$ $v$-$t$ グラフ(横軸 $t$、縦軸 $v$)における「直線の傾き」が「加速度 $a$」です!
⚡ 加速度の符号(傾きの向き)
1. 加速($a > 0$:正の加速度):
速度が増加(スピードアップ)。グラフは右上がり。
切片 $= v_0$ 、傾き $= \dfrac{v - v_0}{t} > 0$
$t\,\text{[s]}$
$v\,\text{[m/s]}$
$\text{O}$
$v_0$
$t$
$v - v_0$
$t$
2. 減速($a < 0$:負の加速度):
速度が減少(ブレーキ)。グラフは右下がり。
切片 $= v_0$ 、傾き $= \dfrac{v - v_0}{t} < 0$
$t\,\text{[s]}$
$v\,\text{[m/s]}$
$\text{O}$
$v_0$
$t$
$v - v_0 < 0$
$t$
✏️ 例題:加速度の計算
初速 $v_0 = 4.0\,\text{m/s}$ で進んでいた台車を押したところ、$3.0$ 秒後に速度が $16.0\,\text{m/s}$ になった。加速度 $a$ は何 $\text{m/s}^2$ か。
公式 $a = \dfrac{v - v_0}{t}$ より、
$a = \dfrac{16.0 - 4.0}{3.0} = \dfrac{12.0}{3.0} =$ $4.0\,\text{m/s}^2$ (毎秒 $4.0\,\text{m/s}$ ずつ速くなる)
📈 ④ 等加速度直線運動の速度:$v = v_0 + at$
加速度の定義から自然に導く「初速度 + 増えた分」
💡 中学数学の一次方程式:「分母を払う」だけで公式になる!
スライド③で確認した加速度の定義式: $a = \dfrac{v - v_0}{t}$
両辺に時間 $t$ を掛けると $\implies$ $at = v - v_0$ (「増えたスピード = 加速度 $\times$ 時間」)
初速度 $v_0$ を移項すると $\implies$ $v = v_0 + at$ (一次関数 $y = b + ax$ そのもの!)
⚡ グラフの「直線の高さ」でイメージしよう
公式の中身を日本語に直すと:
($t$ 秒後の速度 $v$)=(スタート時の速度 $v_0$)+(増えた分 $at$)
・1秒後: $v_0 + a \times 1$
・2秒後: $v_0 + a \times 2$
・$t$ 秒後: $v_0 + at$ (毎秒 $a$ ずつ積み上がる!)
※ブレーキ(減速)のときは加速度が負($a < 0$)なので自動的に引き算になります。
$t\,\text{[s]}$
$v\,\text{[m/s]}$
$\text{O}$
$v_0$
$t$
$v_0$
$+ at$
$v$
✏️ 例題で確認しよう
初速度 $3.0\,\text{m/s}$ で走る自転車が、一定の加速度 $1.5\,\text{m/s}^2$ で加速した。$4.0$ 秒後の速度 $v$ を求めよ。
初速度 $v_0 = 3.0$ に、$4.0$ 秒間で増えた分 $at = 1.5 \times 4.0 = 6.0$ を足します。
$v = v_0 + at = 3.0 + (1.5 \times 4.0) = 3.0 + 6.0 =$ $9.0\,\text{m/s}$
📐 ⑤ $v$-$t$ グラフから導く!等加速度直線運動の「2大公式」
「直線の高さ」から速度の式、「下側の面積」から変位の式が自然に決まる!
💡 復習:等速直線運動(長方形)からスタート!
等速直線運動では、速さが $v$ のまま一定なのでグラフは真横の直線でした。
・速さ: ずっと $v$ のまま変わらない
・距離(変位 $x$): $\text{たて } v \times \text{よこ } t =$ 長方形の面積 $vt$
$\implies$ 毎秒 $a$ ずつ加速して右上がりの直線(台形)になったらどうなる?
$t\,\text{[s]}$
$v\,\text{[m/s]}$
$\text{O}$
$\text{面積 } vt$
$v$
$t$
⚡ 1つの台形グラフから2つの公式が同時に完成する!
① 直線の高さ $\implies$ 速度の式:
$t$ 秒後の速さ $v$ は、スタート時の初速度 $v_0$ に「$t$ 秒間で増えた分 $at$」を足したもの!
$\implies$ $v = v_0 + at$ (初速 + 増えたスピード)
② 下側の面積 $\implies$ 変位(距離)の式:
台形を「長方形」と「三角形」に分けて足し算するだけ!
・長方形(もし加速しなかったら): $\text{たて } v_0 \times \text{よこ } t = \mathbf{v_0 t}$
・三角形(加速して余分に進んだ分): $\dfrac{1}{2} \times \text{底辺 } t \times \text{高さ } at = \mathbf{\dfrac{1}{2}at^2}$
$\implies$ $x = v_0 t + \dfrac{1}{2}at^2$ (長方形 + 三角形)
$t\,\text{[s]}$
$v\,\text{[m/s]}$
$\text{O}$
$v_0 t$
$\dfrac{1}{2}at^2$
$v_0$
$t$
$at$
$v$
🧭 もう公式の文字に惑わされない!
・「速度 $v$ は?」と聞かれたら $\implies$ 縦軸の高さ:初速 $v_0$ に加速度 $a \times t$ を足す($v = v_0 + at$)
・「距離 $x$ は?」と聞かれたら $\implies$ 下側の面積:長方形 $v_0 t$ と三角形 $\dfrac{1}{2}at^2$ を足す($x = v_0 t + \dfrac{1}{2}at^2$)
👁️ 【図解特訓①】$v$-$t$ グラフの面積と変位(Q1〜Q5)
長方形 3問 + 三角形 2問の面積計算
【指示】各グラフの色塗り部分の面積を計算し、物体が進んだ距離 $x\,\text{[m]}$ を求めなさい。
Q1. 等速(速さ $4.0\,\text{m/s}$ で $5.0\,\text{s}$)
$t$
$v$
$4.0$
$5.0$
長方形の面積は?
Q2. 等速(速さ $12\,\text{m/s}$ で $3.0\,\text{s}$)
$t$
$v$
$12$
$3.0$
長方形の面積は?
Q3. 等速(速さ $2.5\,\text{m/s}$ で $8.0\,\text{s}$)
$t$
$v$
$2.5$
$8.0$
長方形の面積は?
Q4. 加速(静止から $4.0\,\text{s}$ 後に $8.0\,\text{m/s}$)
$t$
$v$
$8.0$
$4.0$
三角形の面積は?
Q5. 加速(静止から $6.0\,\text{s}$ 後に $15\,\text{m/s}$)
$t$
$v$
$15$
$6.0$
三角形の面積は?
💡 面積の計算ポイント:
・長方形: $\text{たて} \times \text{よこ} = vt$
・三角形: $\frac{1}{2} \times \text{底辺} \times \text{高さ} = \frac{1}{2}at^2$
次のスライドでは、この2つが合体した「台形」に挑みます!
👁️ 【図解特訓②】$v$-$t$ グラフの台形面積(Q6〜Q10)
初速あり!長方形+三角形に分解(台形 5問)
【指示】台形を「下の長方形」と「上の三角形」に分け、足し算して進んだ距離 $x\,\text{[m]}$ を求めなさい。
Q6. 初速 $2.0 \to$ $3.0\,\text{s}$ 後に $8.0\,\text{m/s}$
$t$
$v$
$2.0$
$8.0$
$3.0$
長方形+三角形は?
Q7. 初速 $4.0 \to$ $2.0\,\text{s}$ 後に $10\,\text{m/s}$
$t$
$v$
$4.0$
$10$
$2.0$
長方形+三角形は?
Q8. 初速 $6.0 \to$ $4.0\,\text{s}$ 後に $14\,\text{m/s}$
$t$
$v$
$6.0$
$14$
$4.0$
長方形+三角形は?
Q9. 初速 $3.0 \to$ $5.0\,\text{s}$ 後に $13\,\text{m/s}$
$t$
$v$
$3.0$
$13$
$5.0$
長方形+三角形は?
Q10. 減速(初速 $12 \to$ $4.0\,\text{s}$ 後に $4.0\,\text{m/s}$)
$t$
$v$
$12$
$4.0$
$4.0$
ブレーキでも台形の面積!
🎯 台形の公式と完全一致!
台形の面積 $= (\text{上底} + \text{下底}) \times \text{高さ} \div 2$
または 長方形 $v_0 t$ + 三角形 $\frac{1}{2}at^2$
どちらで解いても同じ答えになります!
💡 【図解特訓①:解答・解説】長方形と三角形の面積(Q1〜Q5)
公式 $vt$ と $\dfrac{1}{2}at^2$ への対応
💡 【図解特訓②:解答・解説】台形の面積(Q6〜Q10)
長方形 $v_0 t$ + 三角形 $\dfrac{1}{2}at^2$ の分割計算
📝 ⑥ 集中特訓:変位(進んだ距離)の計算マスター(計10問)
公式 $x = vt$ と $x = v_0 t + \dfrac{1}{2}at^2$ の活用
🔹 第1部:等速直線運動(公式:$x = vt$)
  • 1. 速さ $4.0\,\text{m/s}$ で一定に進む物体が、$5.0$ 秒間に進む距離は何 $\text{m}$ か。
  • 2. 時速 $36\,\text{km/h}$($= 10\,\text{m/s}$)で走る自動車が、$15$ 秒間に進む距離は何 $\text{m}$ か。
  • 3. $v$-$t$ グラフで、高さ $v = 8.0\,\text{m/s}$、幅 $t = 3.0\,\text{s}$ の長方形の面積(変位 $x$)を求めよ。
  • 4. 速さ $12\,\text{m/s}$ で一定に進む電車が、$0.50$ 分間($30$ 秒間)に進む距離は何 $\text{m}$ か。
  • 5. 初期位置 $x_0 = 5.0\,\text{m}$ から、速度 $6.0\,\text{m/s}$ で $4.0$ 秒進んだあとの位置 $x$ を求めよ($x = vt + x_0$)。
🔸 第2部:等加速度直線運動(公式:$x = v_0 t + \dfrac{1}{2}at^2$)
  • 6. 静止($v_0 = 0$)していた車が、加速度 $2.0\,\text{m/s}^2$ で $3.0$ 秒間加速した。進んだ距離は何 $\text{m}$ か。
  • 7. 静止($v_0 = 0$)から加速度 $4.0\,\text{m/s}^2$ で加速するとき、$2.0$ 秒後と $4.0$ 秒後に進んだ距離をそれぞれ求めよ(時間の2乗比)。
  • 8. 初速度 $v_0 = 5.0\,\text{m/s}$ で走っていた台車が、加速度 $2.0\,\text{m/s}^2$ で $4.0$ 秒間加速した。進んだ距離は何 $\text{m}$ か。
  • 9. 初速度 $v_0 = 10\,\text{m/s}$ から加速度 $3.0\,\text{m/s}^2$ で $2.0$ 秒間加速した。進んだ距離は何 $\text{m}$ か。
  • 10. 初速度 $v_0 = 12\,\text{m/s}$ で走る車がブレーキをかけ、加速度 $-2.0\,\text{m/s}^2$ で減速した。ブレーキをかけてから $3.0$ 秒間に進んだ距離は何 $\text{m}$ か。
🎯 ⑦ 等加速度直線運動の総まとめ:3大公式の完全攻略
問題文の「登場しない文字」を見る!そして水平から鉛直(重力)へ
💡 道具は揃った!たった2つの基本からすべてが導かれる
ここまで導いた基本は「直線の高さ(速度)」と「下側の面積(変位)」の2つだけです。
第3の公式 $v^2 - v_0^2 = 2ax$ は、①の式から時間を消去して②に代入した「時間を測らなくても速度と距離が求まる時短ツール」です!
⚡ 実戦テクニック:どの公式を使うか「消去法」で決める!
公式 図形・数学の意味 探すもの(未登場の文字) どんな問題で使うか?
① $v = v_0 + at$ 直線の高さ(一次関数) 距離 $x$ がない! 「○秒後のスピードは?」「停止するまでの時間は?」
② $x = v_0 t + \dfrac{1}{2}at^2$ 台形の面積(長方形+三角形) 後の速度 $v$ がない! 「○秒間に進んだ距離は?」「何秒後に追いつくか?」
③ $v^2 - v_0^2 = 2ax$ ①と②から時間 $t$ を消去 時間 $t$ がない! 「○m進んだときの速さは?」「ブレーキの制動距離は?」
🌍 次のステップへの架け橋:「縦の運動(重力あり)」も中身は全く同じ!
これから学ぶ「自由落下」や「鉛直投げ上げ」は、運動の向きを90度回転させて「縦」にしただけです。
地球の引力によって、加速度 $a$ が決まった値「重力加速度 $g = 9.8\,\text{m/s}^2$」に変わるだけで、使う公式はこの3つのままです。
まずは演習問題(水平方向)でこの3大公式の使い分けを完全に体に染み込ませましょう!
📝 ⑧ 演習第1回:等速直線運動(Q1〜Q5)
まずは一定の速さで進む運動を完璧にマスターしよう
【問題】等速直線運動の式 $x = vt$、位置の式 $x = vt + x_0$、および変位と移動距離の定義を用いて解きなさい。
🏎 ⑨ 演習第2回:等加速度直線運動(重力なし)(Q6〜Q10)
水平面上の車の加速・ブレーキ!3公式の使い分け
【問題】3大公式(① $v = v_0 + at$、② $x = v_0 t + \frac{1}{2}at^2$、③ $v^2 - v_0^2 = 2ax$)を使い分けて計算しなさい。
💡 ⑩ 演習第1回:解答・解説(Q1〜Q5:等速直線運動)
単位換算・一次関数の傾き・変位の符号を確認しよう
💡 ⑪ 演習第2回:解答・解説(Q6〜Q10:等加速度直線運動)
3大公式の消去法(使わない文字に着目)で完全攻略
🌍 ⑫ 等加速度運動:重力ありの場合(鉛直方向の運動)
水平の運動から「縦の運動」へ!加速度 $a$ を $g$ に置き換える
💡 公式は新しく覚えなくてOK!仕組みは水平方向と同じ
地上にあるすべての物体には、地球の中心に向かって一定の力(重力)がはたらいています。
空気抵抗が無視できる場合、物体の質量に関係なくすべての物体が一定の加速度で加速します。
この重力による一定の加速度を「重力加速度」(記号 $g$)と呼びます。
⚡ 重力加速度 $g$ を扱うときの基本ルール
・大きさ: $g = 9.8\,\text{m/s}^2$ ($1$ 秒ごとに速さが $9.8\,\text{m/s}$ ずつ変化する)
・向き: 常に「鉛直下向き」
・符号の決め方: 下向きを正とすれば $a = +g$、上向きを正とすれば $a = -g$ として3公式をそのまま適用する!
重力なし(水平方向) 重力あり(下向きを正とする場合) 考え方のポイント
$v = v_0 + at$ $v = v_0 + gt$ 加速度 $a$ に重力加速度 $g$ を代入するだけ
$x = v_0 t + \dfrac{1}{2}at^2$ $y = v_0 t + \dfrac{1}{2}gt^2$ 横の位置 $x$ が縦の位置(高さ・落下距離)$y$ に対応
$v^2 - v_0^2 = 2ax$ $v^2 - v_0^2 = 2gy$ 時間 $t$ が不要な関係式もそのまま活用できる
🍎 ⑬ 自由落下:静かに手をはなしたときの運動
「静かに」=「初速度 $v_0 = 0$」という暗号!
🔍 物理の問題文に隠された「暗号」を解読しよう
問題文に「静かに落とした」「手をはなした」と書かれていたら、それは「初速度 $v_0 = 0$」を意味します。投げつけるのではなく、指の力を抜いてポロッと落とすイメージです。
⚡ 自由落下の2大公式(下向きを正にとる)
1. 速度の式: $v = gt$ (一次関数:$1$ 秒で $9.8$、$2$ 秒で $19.6$、$3$ 秒で $29.4\,\text{m/s}$)
2. 落下距離の式: $y = \dfrac{1}{2}gt^2$ (二次関数:時間が $2$ 倍なら落ちる距離は $4$ 倍!)
✏️ 例題:2.0秒後の速さと落下距離
ビルの屋上から小球を静かに落下させた。$2.0$ 秒後の速さ $v$ と、落下した距離 $y$ を求めよ($g = 9.8\,\text{m/s}^2$)。
・$2.0$ 秒後の速さ $v$:
$v = gt = 9.8 \times 2.0 =$ $19.6\,\text{m/s}$ (有効数字2桁なら $20\,\text{m/s}$)
・$2.0$ 秒間に落下した距離 $y$:
$y = \dfrac{1}{2}gt^2 = \dfrac{1}{2} \times 9.8 \times (2.0)^2 = 4.9 \times 4.0 =$ $19.6\,\text{m}$
🚀 ⑭ 鉛直投げ上げ:上向きを正にすると加速度は「$-g$」
つまずき度No.1!「最高点」の意味とプラス・マイナス
📐 なぜ加速度が「$-g$」になるのか?
ボールを上に投げ上げるので、「上向きを正(プラス)」に座標軸をとります。
しかし、地球の重力は容赦なく「下向き(マイナス)」に引っぱります。
$\implies$ したがって、加速度は $a = -g = -9.8\,\text{m/s}^2$ になります!
⚡ 鉛直投げ上げの最重要ルール
・速度の式: $v = v_0 - gt$ (上に行くほど毎秒 $9.8$ ずつスピードが落ちる)
・最高点の特徴: ボールが一瞬止まるので、「最高点では速度 $v = 0$」!
・対称性: 「上がるときにかかる時間」と「同じ高さまで落ちてくる時間」は全く同じ。
✏️ 例題:最高点に達するまでの時間
地上から初速度 $v_0 = 19.6\,\text{m/s}$ で真上に投げ上げた小球が、最高点に達する時間 $t$ を求めよ。
「最高点 $\implies v = 0$」という暗号を式 $v = v_0 - gt$ に当てはめます。
$0 = 19.6 - 9.8t$
$9.8t = 19.6 \implies t =$ $2.0\,\text{s}$ (毎秒 $9.8$ 減るので、$2$ 秒でゼロになる!)
🍎 ⑮ 演習第3回:重力による運動① 自由落下・鉛直投げ下ろし(Q11〜Q15)
下向きを正として解く!重力加速度 $g = 9.8\,\text{m/s}^2$
【注意】空気抵抗は無視できるものとし、重力加速度の大きさを $g = 9.8\,\text{m/s}^2$ とします。
🚀 ⑯ 演習第4回:重力による運動② 鉛直投げ上げ(Q16〜Q20)
上向きを正とする!最高点で $v = 0$、対称性を活用しよう
【注意】鉛直上向きを正とし、加速度を $a = -g = -9.8\,\text{m/s}^2$ として式を立てなさい。
💡 ⑰ 演習第3回:解答・解説(Q11〜Q15:鉛直落下)
下向きを正として計算!自由落下($v_0 = 0$)と投げ下ろし
💡 ⑱ 演習第4回:解答・解説(Q16〜Q20:鉛直投げ上げ)
上向きを正($a = -g$)!最高点で $v = 0$ と対称性の理解